リベラルがいないと食っていけないアンチリベラルの台所事情。Web記事その未来の読者は人間ではない。恋愛関係なしでパートナーシップを築く実験、そして夏だし唐辛子ナンプラー。
あとで読むいま読む 第2回
というわけで「後で読む」に入れた記事を本日も消化していきましょう!今回も面白い記事がたくさんありました。
あ、取り上げる記事は、速報性等は考慮していません。つまり、今週紹介したからといって、今週書かれた記事だと言うわけではありません。 中には何年も前の記事があったりもします。
結局みんなが同じようにニュースをSNSで取得したり、RSSフィードなどで収集したりしてますよね。それを同じように紹介しても面白くないので、むしろアウトオブタイムであることをよしとする。そのようなスタンスで進めていきたいと思います。ではではいきましょう!
Twitterはこれからも“ゾンビ”として生き残る
ゾンビとして生き残るって……生きてる死んでるはっきりしてほしい。
結局この記事で言ってる事は、皆さんが既にご存知の事ばかり。要はどれだけマスクがすごかろうが、Twitterが素晴らしかろうが、金がなければ何もできず、あれば、ワンチャン、ガチャが回せるという状態が、現在のTwitterと言うことだ。
人々は幾度となく昔の思い出を語り、Twitterの終焉を嘆いてきたが、しかしいつになってもTwitterはなくならない。そして、フラストレーションを溜めることになるとわかっているのに、人々はログインしてしまうのである。
使うのやめたらフラストレーションなくなるだけなのに……まぁそれができないから苦労して今日もTwitterにログインしまたイライラするんだろうけど。
Xを使い続ける忠実なユーザーもいるだろうが、同プラットフォームのおそらく最も深刻な問題点はリブランディング後も未解決のままだ。その問題点とは広告収入の減少と経営難だ。コンテンツモデレーションの軽視が原因となり、多くの広告主はXを離れている。そして、メタ・プラットフォームズが運営する競合プラットフォームThreadsは企業ブランドにアピールして広告を誘致している。
"They need us. We don't need them:" The fall of Twitter is making the trolls and grifters desperate
"They need us. We don't need them:" The fall of Twitter is making the trolls and grifters desperate
英語だけれどぜひ読むことをお勧めします。DeepLを使えば結構簡単に読めると思うんで。自分もそれで読みました。
要するに、イーロンマスクがTwitterを破壊してしまったせいで「普通の人たち」がTwitterから離れていってしまったと。そうするとその「普通の人たち」をエサにしていたアンチリベラルの人たちが今まで通りのインプレッションやアテンションを稼ぐことができないので、ますます極端なこと言わざるをえなくなっているという報告ですね。
この手のアンチリベラルな人たちってリベラルな人たちが食いついてくれることを期待してるんですね。なのでリベラルな人たちがアンチリベラルの投稿読んで「こんなひどいこと言ってる」「許せない」といって激怒してくれればくれるほど、この手の人たちにとっては都合が良いわけですよ。つまりアンチリベラルの人たちは、リベラルの言説を必要としているってことなんですよね。
"Grifters need people to harass and a mainstream discourse to counter. As traffic takes a nosedive and Twitter becomes less a part of the conversation, it's going to be harder for these folks to make money," Melissa Ryan, a strategist who helps counter online disinformation, told Salon.
“詐欺師 "には、嫌がらせをする人々と、それに対抗する主流の言説が必要だ。トラフィックが急降下し、Twitterが会話の一部でなくなれば、こうした人々がお金を稼ぐのは難しくなるでしょう」と、ネット上の偽情報対策を支援するストラテジスト、メリッサ・ライアンはSalonに語った。
日本でもたとえば青識亜論とか白饅頭とか。まぁその手の名前を挙げていけばキリがないですけど、わざとフェミニストやリベラルの神経を逆なですること言って、反応をさせ炎上させ、それでnote等の有料コンテンツで課金する。そうした戦略で動いてると思わしきアカウントが結構ありますよね。
読んでしまうと、どうしても反応したくなってしまうんだけれども、この手の人たちは自分たちに向けられる怒りをお金に変えているわけで、真面目に反応してしまうことが相手に塩を送る結果になってしまっていると。
てなると、やっぱりそれでもTwitterに残って抵抗していくんだって考えるよりも、とっととTwitterを捨てて「あんなところはまともなプラットフォームじゃない」って見捨てていった方が運動戦略的には有効な気がします。
ぼくも何遍も言っているけれども、Twitterもできるだけ使わないほうがいいかなと思うし、仮に使うにしても、同時に別のプラットフォームを育てていくという発想を持たないといけないと思う。
"As normal people, for lack of a better term, continue to leave Twitter, that's actually going to cause probably a reduction in the use of the platform by these trolls and these fraudsters. They don't have their audience of targets that they need," he continued.
「言葉は悪いが、普通の人々がツイッターから離れ続ければ、荒らしや詐欺師によるプラットフォームの利用は減るだろう。彼らが必要とするターゲットのオーディエンスがいないのです」と彼は続けた。
こちらの記事、定量的なデータや論理的な根拠があるわけではないので、誰かの意見を単に紹介しているだけの記事ではあるのですけれども、でもおそらく言ってる通りなんじゃないかなと思いますね。
文は短いほうが良い?
人間の集中力がどんどんどんどん落ちていってるらしい。大体8秒間くらいまでしか集中できなくなるらしいですね。
ちなみに8秒間で読める文字数の平均は70~80字だそうです。とするならば、句点まではこの文字数で終わらせたい。私は気がつくと長文を書いてしまう傾向があるので、少し矯正しました。
また70~80字で文を書いても、それが連なりすぎて大きな文章になってしまうと、それもまた読みにくいですよね。文章で言えば、最大でも150文字程度に収まるようにしたいなと思って書いていますが、これが中々難しい。一応、基本は100~120文字に収まるようにしています。
文・文章の文字数に続いて、記事全体の文字数はどうでしょうか。スマホで読むのに適したメディアは500~600文字、おおよそ1分で読める記事が主流になっているようです。1000文字を超えるとしっかり読むといったイメージになりますね。
ChatGPTや音声入力で生産性が爆上がり!記事がたくさん書ける!なんて言って喜んでいるけれども、そんなことをみんながしたら、人間の時間は有限なのだから、その有限の時間を大量の記事でお互いに奪いあうことになるわけで。
つまり、記事制作の効率が上がれば上がるほど、どんどんどんどん一記事あたりの生産性・効率性は下がっていくはず。 全然喜んでいられないと思いますよ。
この「人間の時間は限られているが、読むべき記事はどんどん増えていく」を解決するために、近い将来ChatGPTに記事を下読みさせるという流れが一般化すると思う。今もそのようにしている人たちはいるかもしれないけれども、 みんながそうするようになる。
そうすると記事を読む読者は人間ではなくて人工知能になる。その人工知能が読みやすい文章を人工知能を使って書く世界になるんじゃないかと自分は思っていて。これは星新一が「肩の上の秘書」で描いた通りの未来ですね。
この星新一のSFでは、人は自分の方に乗っているオウムに向かって話しかけるんですよ。そうするとそのオウムが話しかけられた内容を素晴らしい文章に変換して相手に伝えてくれる。ところが相手は相手でこちらが言ったことを直接は聞かず、まずは肩の上のオウムに聞かせる。で、そのオウムが聞き取った文章を要約して主人に伝えるっていう。
「いいかね、ゼーム君。わが社の現状は、いまや一大飛躍をせねばならない、重大な時だ。それは、きみもよく知っていることと思う。しかるにだ、このところ君の成績を見るに、もう少し上昇してもいいのではないか、と考えたくなる。はなはだ遺憾なことと、言わざるをえない。ぜひ、この点を認識して、大いに活動してもらいたい」ゼーム氏のインコは「もっと売れとさ」とささやき「そう簡単に行くものか」と、ゼーム氏はささやきかえした。肩のインコは、神妙な口調で部長に言った。「よくわかっております。わたくしも、さらに売上げを増進いたす決心でございます。しかしこのごろは他社も手をかえ、品をかえ、新しいことをやっております。販売も、以前ほど楽ではございません。もちろん、わたくしもさらに努力いたしますが、部長からも、研究生産部門に、もっとぞくぞく新製品を作るよう、お伝えいただけると、さらにありがたいとぞんじます」
ーーーー 星新一 『ボッコちゃん』(新潮文庫) (Japanese Edition) (p.198). Kindle 版.
そんな時代がすぐそこまで、っていうかもう来てるってことですね。
恋愛関係なしで、パートナーシップを築く実験
異性愛者の異性同士で「恋愛関係なし」で、おそらくは単なる同居ではなく、パートナーシップを築くという実験。その記録。
まず、2人とも言ってるのが「恋愛がわからない」と言うこと。
疑い深い私は“恋愛”みたいな感情が、社会とか、そういう大きなものによって仕組まれたものなんじゃないか……? とだんだん思うようになってきて、これまでの自分がしていたことが本当にしたくてやったことなのか、みんながやっているからしていたことなのかまったく自信が持てなくなった。
恋愛がわからないっていうのは、ぼくもわかるっちゃわかるし、わかんないっちゃわかんない。
っていうか、こんなもんわかろうと思えば簡単ですよね。適当な種類の親愛の情(主に単純接触効果による好意をベースとして発展したそれ)に適当な種類の性欲を加え、適当に名前をつけた、ある程度パッケージ化された、ある特定の時代にのみ流通している、ある種の親密性のスタイル、およびそれを表す概念、くらいのもんだと思うんだけど。
これで話は終わっちゃうわけだけど、でも、そこでそれでもそれをずっと考えようと思ったら、まぁいろいろわからないことも出てくるわけで。
で、この二人が不思議なのは、この「恋愛というわからないもの」から自由になるために「恋愛関係なしのパートナーシップ」というものを出してきて、でもそれ自体が自分たちにとって一体何なのかがまったくわからないっていうところなんですよね。
有吉さんは少し考えてから「それは興味があるし、いいかもしれない」とゆっくりと言った。自分が考えていたことを、彼がひとまずは受け入れようとする態度を見せてくれたことにとても安心した。だけど、私は自分が提案したことが一体どういうことなのか、自分でもよくわかっていなかった。
当たり前のことなんだけれども、恋愛とは「”恋愛じゃないもの”ではないもの」(二重否定)ですよね。で、恋愛について考えた。けれどもわからない。だから、恋愛じゃないものについて考えていこう!というのが、こちらの生活実験=記事の眼目だと思うんですよ。
で、恋愛を考えるために「恋愛じゃないもの」について考えようってことなんだけど、じゃあ「恋愛じゃないもの」ってなんだ?ってなったら、これは「”恋愛じゃないもの”じゃないもの」つまり恋愛、これの否定だから、恋愛が何かがわからないとわからない。結局全然一歩も前に進めてないんだよね。
あんまりそんな難しいことを考えないで、とりあえず男性と女性、異性愛者の異性同士、セックス抜きでの同居、ルームシェアってんじゃダメなのか。
もちろんセックスなしで恋愛感情だけあるという、つまりアセクシャルみたいなあり方もあると思うけど、この方たちのセクシャリティは今のところそういったものでは無いようで。そんなことしてる人は既に結構いると思うし、そこまで新しいとか珍しいということでもないと思う。
ポリアモリーでもない限り、 恋愛関係ではないパートナーシップということに「男女のルームシェア」「同居」以上の特殊性を持ち出すとすれば「他にパートナーシップを作らない」という排他性ぐらいしか付け加える条件はないと思う。
今って恋愛がわからないって悩んでる人が結構多いのかもしれないけれども、もう恋愛なんか多分どんどん誰もしなくなると思うし、もうそうなってると思うよ。
これは岡田斗司夫が言っていたことなんだけれども、恋愛はコスパが悪いからバーチャルなものに置き換わっていくって。
でも、僕はテクノロジーが進化してオタク向けの娯楽が充実してくる、と主張したいわけではありません。本当にごくごく一部の人間を除き、僕らは全員多かれ少なかれバーチャルで恋愛することになるんです。そう考えるようになったきっかけは、非モテ相談オフ会をやったことです。彼氏/彼女が欲しいという人がいたら、性別年齢を問わず無料で相談に乗るというイベントを何回か開いてみました。最初のうちは、「まあまあ。とりあえずこのオフ会にいる隣の人と即席のカップルになって、その辺を30分くらい散歩してきなよ」なんてアドバイスしていたんですが、100人以上の相談に乗っていると大まかな傾向が見えてきます。「女の子に興味がないわけじゃない」とか「中学生の頃に片思いした相手が忘れられない」とか、いろんなパターンの人がいましたが、まとめてみると8割くらいの人は「すごく魅力的な相手だったら本気で好きになれるけど、それほど魅力的と思えない相手と付き合うのはお金や時間の無駄」ということを語っていたんです。彼氏/彼女は欲しいけど、恋愛は「コスパが悪い」んです。ーーーー『ユーチューバーが消滅する未来』岡田斗司夫 p.92
これは煎じ詰めれば「リアルな恋愛は、ダサくて、不便で、不経済」ということ。こんなにダメな要素が揃っているのだから、必要性は低くなるというものです。冒頭、非モテ相談オフ会で「すごく魅力的な相手だったら本気で好きになれるけど、そうでなければ付き合いたくない」という人が多いことを紹介しましたが、彼らはとても合理的な判断を行っているとい言えます。だけど、恋愛感情自体は、みんな肯定したい、持っていたいーー。だけど、リアルな恋愛は、ダサくて、不便で、不経済ーー。要するに、リアルからの逃避と洒落化が必要になっているというのが、現在の恋愛事情なのです。ーーーー『ユーチューバーが消滅する未来』岡田斗司夫 p.98
実際そうですよね。人間の恋愛に求めることって「言って欲しい言葉を言ってもらえる」とか「話を聞いてもらえる」とか。まぁその手のものと、あとは性愛、セックスみたいなもの。 それと「一緒に暮らす」というくらいのものだと思うんだけど。
話を聞いてもらうことについて言えば、今、多分人工知能の方がよっぽど人間より話を聞くのがうまいし、きちんと人の話を聞いてると思う(笑)。
あとは性愛なんだけど、これもバーチャルが加速していけば、逆にリアルは要らなくなると思う。
「そんなわけあるか」と思うかもしれないけど、現時点で既に多くの(主に)男性はポルノ中毒なので。ポルノを見れば興奮はするけれども、リアルな女には勃たないみたいな人も結構いる。それぐらいには人間の性欲には可塑性があるので、バーチャルで気持ちの良い体験ができるようになれば、体毛があったり体臭がする、そんなリアルな男性女性のところに行く必要もなくなるというか、行きたくないだろうね。
そうすると人間のパートナーにそれでも寄せる期待は「一緒に生活をしてくれる」とか「苦手なことを補ってくれる」とか「リスクを分散させてくれる」といった部分になるはずで。現状ではこれは、愛情をベースにした夫婦関係といったものが唯一認められている関係だから、そこになぞらえる必要がどうしても出てきてしまうけれども、概念的には、単に一緒に住んでいるってことでこれはもういいんじゃないかな。
お二人の生活に興味はある。けれど、なんか読んでると、実験のために暮らしている感じもしてきてしまって、それって言ってみたら、他人やその関係、それに自分の人生を、コンテンツ、ツール的に見てしまっているということなのかもしれなくて、それってヘルシーじゃないなと。
まあ、そうじゃなくてその逆。「実験」というのは、もっと相手と仲良くなりたくて、そのために持ち出した口実でしかないかもしれなくて、そうであったらいいなーって思ってる。もちろん「仲良くなる」は性愛的恋愛的な意味だとは限らない。
やみつきになる万能調味料、青唐ナンプラー|榎本美沙の発酵暮らし
やみつきになる万能調味料、青唐ナンプラー|榎本美沙の発酵暮らし
こちらは天然生活の記事。なんだかんだであまりがちなナンプラーの有効活用法を紹介しています。青唐辛子を買ってきて刻んでナンプラーに入れるだけ。それで簡単にとってもおいしい調味料ができてしまう、と言うだけの記事なのになぜこんなに長い(笑)。
自分は最近、ベトナムのフォーにハマっていてよく作って食べています。あれ実はめっちゃ作るの簡単なんだよね。
フォーを買ってきて茹でる。その時に牛肉を軽くしゃぶしゃぶして火を通しておく。お椀に少量のダシダ、ナンプラーを入れてお湯ごと麺を投入。そこに先ほど火を通しておいた牛肉をのせ、その上にパクチーを大量に刻んで入れ、後はレモンでもライムでもすだちでも。好きなものを絞って混ぜれば出来上がり。
薬味が欲しい時はお酢に漬けたにんにくや、ここで紹介しているようなナンプラー漬け唐辛子なんかを使うと、それだけでぐっとおいしくなります。エスニック料理って難しそうに見えて結構簡単なので、積極的に生活に取り入れていきたいですね。
「恋愛関係なしで、パートナーシップを築く実験」は、確かにそれは既存の枠でもいえることかもしれないし、既存の関係で代替できることかもしれないけど、その人にとっては一回きりの人生で、理屈でわかることも体験しないと納得できないって部分があるのかなって思いました。